伝統園芸とイノベーション(初の羅紗千代田『玉松』の披露宴招待状)
今日は、歯の話とは全く関係ありません。
伝統園芸と聞くと、あなたは何を思い浮かべますか?
盆栽、朝顔、東洋ラン、などなど。多くは元禄文化以降の経済の発展とともに大きく開花していきました。やはり、平和と経済があってこそ、花を愛でる気持ちも表に出せるようになるのかもしれません。
伝統園芸とは、山で珍しい個体を採取または栽培中に突然変異した個体を、大切の保存してそれに名前を付け、大相撲のような番付表を作り、株分けで後世に残していくことで成立しました。現在は自然界では既に採り尽くされたり、自然保護の観点から実生(種を蒔く)で新品種を作出するようになりました。
そんな中で気になることを少々。
- 春蘭:日本では特定の名品(女雛など)間の交配の段階で、まだ親を超越した品種は見られない段階。いわゆる韓国春蘭については、私の思い込みかもしれませんが、洋ランのような属間交配が行われているように感じます。日本春蘭よりもイノベーションが進んでいるため、特出した品が出る可能性が高まります。ただし、難点を言えば、属間交配は伝統園芸ではまだ良い評価を得られないとみて、山採り(山に種を蒔いていることも含めて)と発表しているようです。そこがクリアになればいいですね。
- 富貴蘭:まだセルフ交配で縞のある個体を得たり、洋ランと交配して花の色彩のバリエーションを増やしている段階。洋ラン同様にフラスコ培養で新個体が得られるため、親レベルの個体が大量発生した結果、伝統園芸の希少性が失われてしまい、残念な思いをする趣味者が出ています。実生個体と山木(天然個体)の厳格な識別をしていかないと、洋ランと同じ価格帯になってしまうのかもしれません。
- 万年青(おもと):大葉、薄葉(縞甲、柄物、獅子など)、小葉(縞羅紗)など様々な形態がありながらすべて同一品種(学名が同じ)。万年青の種子は蘭科植物と違いかなり大きいため、1株の花にできる種は数十粒程度、(洋ランの場合は1花に数万粒)大量に万年青の種を蒔ける人が現在はいません。それゆえ、本来は新品種作出が非常に困難なハズです。しかしながら、面白いことに万年青に限っては『実生家』と自称する超オタクの人間が、幕末以降絶えず存在し続けています。その結果、毎年新品種の登録が続き、現在のおもと文化を継承し続けています。
万年青の実生作出で成功した人をつぶさに観察しているといくつかの特徴がみられます。メンデルの法則に自分の予測を加えた自説を曲げない、自信過剰、イノベーション好き、作出してすぐに万年青業者や栽培のプロに譲渡している、経済に興味がある、万年青が生活の1部になっている(または人生の全て)、などです。芸術で大成した人と同じですね!
実生家のイノベーションとは、全くかけ離れたジャンルを交配して新品種を作出しようとすることです。根岸斑と甲龍を合体させた『千代田の松』、縞羅紗と千代田斑を合体させた『玉松』、縞甲と獅子を合体させた『玉姫』、千代田斑と獅子を合体させた『常盤獅子』、獅子と羅紗を合体させた羅紗獅子などなど。作出できる可能性は極めて低かったにもかかわらず、偶然を信じて実生家たちは果敢にF1,F2を作り続け、ついには夢に見たイノべーティブな新品種を作出していきました。題名にある『玉松』は発表披露宴までありました!
日本の再生のために、産業界に万年青の実生家のような、学校教育に馴染まないイノベーターが必要ですね!
追伸:インプラントは、歯科と整形外科のイノベーションです。
